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体臭を気にするのは人間だけ

体臭に関する悩みは特に思春期の頃から噴出してくるものです。自身の体臭を気にしだすタイミングはさまざまですが、思春期の頃は特に潔癖になってしまう傾向もあります。実際は学校での上履きやその他の衣服はとんでもなく雑菌を含んでいるのに、そのようなことはお構いなしにうわべの「キレイ」を気にするのが思春期です。そのような時期から大人に至るまで、体臭のケアというのは「当たり前のこと」としてインプットされていきます。歯を磨いたり、髪型を整えたりすることと同じ位置づけで、自身の体臭のケアを行い始めるのです。そして、自身が気をつけているだけに他の人のそれに対してはとてもシビアになってしまいがちです。根本は自分が不快であるのが嫌だから、そして他の人に自分の体臭を気付かれてしまうと恥ずかしいから、ということがあります。そのようなことが次第にエスカレートして神経質になってしまったり、他の人に対して嫌悪してしまったりということにつながっています。デオドラント製品の数々は、そのようなさまざまな「臭い」に対するニーズに応えるために細分化していきました。人のニーズの数だけそこにビジネスチャンスがあるので開発され、販売されるのです。
人は唯一文明を持つ生き物です。文化を築き上げる過程で価値観や道徳観、他者との関わりなどを深く考えるようになり、そして「清潔でいること」に関しても重要だと考えるようになりました。その結果生きるためのリスクをひとつずつ解消していき、寿命を伸ばしてきました。その中には「清潔でいる」ということも含まれています。清潔で居続けること、汚いことが嫌だと感じる感性は人間ならではのものであるでしょう。人間だからこそ、清潔でいたいと考えるもので、その延長線上に「体臭」に対するシビアな意識があるのです。もちろん、そのようにシビアに感じる人が多いのでみんなで気をつける必要があるとも言えます。いわば不文律です。他の動物は臭いを利用して縄張りを確認したり、互いを認識したりするものですが、私たち人間にはそのような「臭い」を利用しなくても十分他者を認識出来ますし、地上に見える形で線を引かなくても「国境」を維持できます。知識や考える力に優れた私たちは匂いを「楽しむためのもの」として扱うことだってできるのです。人間以外の動物はむしろ「体臭」がないと困るのです。体臭がなければ認識できないこともありますから、生きるために必要な要素なのでしょう。ですが、私たちは違います。「臭い」は「匂い」とも言います。心地よくなるためにその匂いがあったり、また不快な臭いはシャットアウトしたいと思うものです。
体臭を気にするのは人間だけです。人間だからこそ清潔でいたい、人間だからこそ快適に過ごすために工夫をします。私たちが私たちでいるための証明、人間であることの「証」のひとつが「臭い」に対する配慮なのです。少しでも相手に不快な思いをさせてはいけないというモラルがそこにあります。そして常に清潔でいたいという欲求もそこにあります。それを実現するためのデオドラントが数多く市販されています。人の希望を叶える術を、人は知っています。体臭が発生するメカニズムもほとんど解明されているといっていいでしょう。体臭で悩んでいた人は、もう悩む必要はないのです。解決する方法はさまざまあるのです。そして、キレイ好きな人がほとんどである以上、気をつけすぎるということもないのです。ですが、他の誰かの体臭気にしすぎる必要もありません。根底に「思いやり」が見え隠れする、そんな社会であって欲しいですし、些細なことでも誰かのために配慮するということは悪いことではありません。それこそが、私たち「人間」の持つ美徳なのではないでしょうか。

 
 
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